二度目の好きをもらえますか?
「死んだら花織さんは賢ちゃんのその後を見届ける事はできない。誰が悲しんで、誰が後悔して、誰が忘れ去っていくのか分からない。生きてないと、そんなの全部っ、分からないんだよ!?」

「……っな」

「私には、花織さんの辛さは分からないし、友達でもなんでもないから正直ウザいって思うよね? でも死なないで、生きていて欲しいのっ!」

 彼女の両腕を掴んで、必死に想いを伝えると、彼女は曖昧に口を開けたまま暫し放心していた。

 彼女のパッチリとした、大きな目の端に丸い粒が浮かんで頬へと流れた。

「なによ」と花織さんが、また呟く。

「ほんと、ウザい」

「……うん」

「私よりブスのくせに……っ」

 彼女は両手で顔を覆い、さめざめと泣いていた。私は彼女から手を離し、静かに胸を撫で下ろした。そして「分かってるよ」と続けた。

「私はブスだけど、毎日が楽しい。だから生きてるんだよ」

 肩を震わせて泣く彼女のそばに、いつの間にか賢ちゃんが立っていて、静かに腰を下ろした。花織さんの頭をポンポンと撫でている。

 彼女は彼の手だと気付き、そのまま抱きついた。彼の腕の中でしゃくり上げながら暫く泣き続けた。
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