二度目の好きをもらえますか？
「そばにいて構ってくれれば、あいつは誰でもいいんだ」

　薄く水の膜が張った地面をぼんやりと見ながら、賢ちゃんはどこか寂しそうに笑った。

「それは……。違うんじゃないかな？」

「え…」

「花織さんの事、詳しくは知らないけど。きっと、うんと悩んで、賢ちゃんに会いに来たんだよ」

「……」

「誰でも良かったら、わざわざ電車に乗って遠距離を会いに来ないよ」

「……そっか」

　そうだよな、と続け、彼はこれまでの事を話してくれた。

　親の転勤で花織さんと離れる事になり、できるだけ会いに来るからと約束をして、今の学校に転校した事。

　彼は言葉通り、毎晩のようにバイクを出していたが、それが不意に裏切られる結果となったらしい。

　賢ちゃんの知らぬ間に、彼女の寂しさを埋める、岸くんという彼氏(そんざい)がいて、彼は偶然それを目にしたようだ。

「一瞬だった。あいつを泣かせないようにしないとって……義務みたいに思ってたもんが消えて、一瞬で冷めた。今から思うと本当に好きだったかどうかもわかんねぇ」

「……そうなんだ」

　うん、と彼は静かに頷いた。

「多分ほっとけないって思いで動いてたんだろうな。だから花織が岸と会ってても、嫉妬とかそういうのは全くなかった。もう別れるって事でいいよな、って。俺から一方的に切った」
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