二度目の好きをもらえますか?
 不意に胸の奥がじわりと温かくなった。彼を見つめて、私の足は自然と歩みを止めた。

「カッコいいよ?」

「……え?」

「賢ちゃんはカッコいいよ?」

 立ち止まった私を振り返り、彼はキョトンと目を瞬いた。その視線と合わさって、私は「ふふっ」と笑みを浮かべる。


「私さ。賢ちゃんが好きだよ」

「……」

「賢ちゃんが大好き」


 心を突き動かされるままに、告白を口にしていた。彼は突然の事に意表を突かれ、表情を固めている。

「子供の頃はさ、賢ちゃんがいつも追い掛けてくれてたけど……これからは私が追い掛けるから」

「……」

「まぁ、拒否られたら即撤退する雑魚キャラだけどね……」

 たちまち頬から熱が上がった。私は喋りながら目を逸らした。真っ直ぐ彼を見ているのが恥ずかしくて、居た堪れない気持ちになる。


「俺も彩月が好きだ」


 ……え?

 足元に下げた視線を上げると、すぐそばに賢ちゃんが立っていて、急に右手を掴まれた。

「っえ、ちょ、」

 ドキンと心臓が大きく跳ねて、口から飛び出しそうになる。

 私の手を引いて突然早足になる彼に、帰路を急かされる。

「賢ちゃん、どうし」

 たの、と続けるのに、彼は私の台詞に被せて言った。
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