二度目の好きをもらえますか?
 本当に私と?

 確かめたいけれど、口から出したら夢オチしそうで怖い。

 好きな人と両思いになる、なんて展開は、これっぽっちも想像していなかったので、まだ私の頭が付いて行けてない。あまりにも都合の良い流れを処理できずに、バグを起こしそうだ。

「もうじきお父さんも帰って来るから、四人で話をしましょう」

「……うん」

 お母さんに再度促されて、私は階段に足を掛けた。チラッと賢ちゃんを振り返って見ると、リビングに入る彼と目が合った。賢ちゃんは、うん、とひとつ頷き、優しい目で微笑んだ。

 心臓がキュンと締めつけられる。

 別の私服に着替えてからリビングに降りると、ダイニングテーブルに四人分のランチョンマットが敷いてあった。

「賢二くんのお宅にね。さっき電話して言っておいたから」

 お母さんの言葉を受けて賢ちゃんを見ると、彼は「ゴチになります」と言って両手を合わせた。

 お母さんがお盆に載せた主菜を順番に並べ、お茶碗にご飯をよそう。今日はトンカツだ。同じお皿に彩られた千切りキャベツとプチトマト、レモンの鮮やかさが食欲をそそる。
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