二度目の好きをもらえますか?
 グゥ、とお腹が鳴りそうな気がして、曖昧な手つきで腹部を押さえた。

「……あ。お父さんお帰り?」

 私が着替えている間にお父さんが帰宅していたようで、いつものように上着とネクタイ無しの格好でリビングに顔を見せた。「ただいま」と言って、お父さんが定位置に座る。

 お父さんの隣りにお母さんが座っているので、自然と私も賢ちゃんと横並びに座る。

 いただきます、と手を合わせて少し経った時。

「ところで……。彩月は賢二くんとお付き合いする事になったんだって?」

 頃合いを見たのだろうが、お父さんが本題を切り出し、喉にご飯が引っかかる。慌ててお茶を飲んだ。

 お母さんに「大丈夫?」と心配されて、自分の間抜けさに顔が熱くなった。

「今日、彩月……さんから告白されて、付き合う事になりました。僕も……。彩月さんが好きなので」

 私の両親の前だからか、賢ちゃんがいつもと違う口調で畏まって言う。緊張と照れが相まって、彼の頬が赤く染まる。その様子を見ていると、「で、いいよな?」と彼に確認された。私はしきりに顎を引く。

 賢ちゃんがまた改まり、それまで握っていたお箸を置いた。
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