二度目の好きをもらえますか?
賢ちゃんと付き合い始めてから、毎日登下校を共にしている。並んで歩く事自体は、確かに友達関係の時にもあったけれど、彼の手と繋いで歩くのは初めてだ。
ぎゅっと恋人繋ぎにした右手に意識を寄せると、胸の奥がポカポカと温かくなる。私は一日に何度も緩む頬を一旦引き締めて、彼を見上げた。たちまち目が合った。
賢ちゃんがフッと口角を上げる。
「今日髪くくってんじゃん?」
「っあ、うん。麻衣子に教えてもらってね。結んでからクルリンパしてみた!」
「ははっ、くるりんぱ?」
「なにそれ」と言って、賢ちゃんが笑う。その横顔を見つめて体の内側でトクンと音が鳴る。
賢ちゃんは付き合ってから、よく笑う。分かりやすいほど上機嫌だ。
「えへへっ、このゴム可愛いでしょ? この間買ったの!」
後ろ頭に付けた黒猫を指差して見せると、「へぇ、いいじゃん」と言って優しい目を細めた。私はそれだけで舞い上がってしまう。
「彩月っぽい」
「でしょ?」
秋の長雨が終わり、頭上には果てのない青が広がっている。
私は突き抜けるような秋晴れの空を見上げた。澄んだ青のところどころに薄い雲が張り付いていて、ゆっくりと斜めに流れていく。
ぎゅっと恋人繋ぎにした右手に意識を寄せると、胸の奥がポカポカと温かくなる。私は一日に何度も緩む頬を一旦引き締めて、彼を見上げた。たちまち目が合った。
賢ちゃんがフッと口角を上げる。
「今日髪くくってんじゃん?」
「っあ、うん。麻衣子に教えてもらってね。結んでからクルリンパしてみた!」
「ははっ、くるりんぱ?」
「なにそれ」と言って、賢ちゃんが笑う。その横顔を見つめて体の内側でトクンと音が鳴る。
賢ちゃんは付き合ってから、よく笑う。分かりやすいほど上機嫌だ。
「えへへっ、このゴム可愛いでしょ? この間買ったの!」
後ろ頭に付けた黒猫を指差して見せると、「へぇ、いいじゃん」と言って優しい目を細めた。私はそれだけで舞い上がってしまう。
「彩月っぽい」
「でしょ?」
秋の長雨が終わり、頭上には果てのない青が広がっている。
私は突き抜けるような秋晴れの空を見上げた。澄んだ青のところどころに薄い雲が張り付いていて、ゆっくりと斜めに流れていく。