二度目の好きをもらえますか?
 繋いだ手に幾らか力を込めて握り直すと、賢ちゃんも真似をして心が躍る。

「幸せだー」

「……確かに」

 私と賢ちゃんの交際は順調だ。

 私は中間テストの一日目だけを休んだので、別の日に受け直す事になった。ちなみにどの教科も前日のおさらいが進まず、出来はいまいちだ。初カレに浮かれて、ほとんど勉強が手につかなかった。

「なぁ、小谷ってマジで賢二と付き合ってんの?」

 クラスの男子、武田くんにいきなり話し掛けられた。麻衣子や美鈴たちと話している合間に突然割って入られたので、一瞬反応に遅れるが。

「うん。付き合ってるよ?」

 私はいつもの笑みを浮かべて答えた。

「私から告白したんだよね」

 訊かれてもいない事を平然と話すと、武田くんは「へぇ」と目を丸くした。

「やるじゃん?」

「まぁね!」

 幾らか顔を寄せ、武田くんが小声になった。

「賢二ってさ、誰から告白されても断ってたらしいぜ?」

「……そうなんだ」

 すぐそばにいる美鈴の告白(それ)を思い出した。少しだけ、居た堪れない気持ちになる。

「ここだけの話、隣りのクラスの門倉さんも振られたってさ。あんな美人なのに、あり得ねぇよなー」

 そう言って武田くんはため息をつく。
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