二度目の好きをもらえますか?
「家、隣りだしさ。夏休みの間暇そうだったら私、遊びに行くよ?」

「は? 何でそうなんの?」

「だって、さっき言ったでしょ? 賢ちゃんの失恋の傷、私が治してあげるって」

「……いや、それは」

「賢ちゃんの事好きな女の子、結構知ってるよ。
 だからさ、一つだけ。私のお願い聞いてもらってもいい?」

「なんだよ、ようは交換条件ってこと?」

「うん」

 臆面もなく頷くと、賢ちゃんは呆れてため息をつき、「なに?」と訊いてきた。

「賢ちゃんの失恋を癒す代わりに、バイクに乗せて欲しいんだ。勿論、怪我が治ってからだけど」

「……。はぁ?」

「あれ結構大きいし、後ろ乗れるんでしょ?」

「いや、そうだけど」

「あっ! 彼女しか乗せない主義とか言うんだったら、悪いんだけどノーカウントで一回だけ! ねっ、いいでしょ?」

 賢ちゃんは私をジッと見て、ガクッと項垂れた。

 え、なに?

 彼の反応の意味が分からなくて、首を傾げていると続けてハァ、と大仰なため息が聞こえた。

「……だから嫌だったんだよ」

 ……?

 ボソッと呟いたきり、押し黙り、眉を寄せてからまた私に視線が戻ってくる。
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