二度目の好きをもらえますか?
「分かった、別に良いよ。怪我が治ったら乗せてやるから……自分のヘルメット買っとけよ?」
「……あっ、うん!」
やったぁ!
顔全体を緩ませて小さくガッツポーズを作っていると、賢ちゃんが「あと、それと」と言葉をついだ。
「その、失恋を癒やすとか、わけ分かんない企画、要らないから。
自分の好きな奴ぐらい、自分で見つけるし、今は必要ない」
真剣な彼の目を見て、私は無意識に頷いていた。
「……そう、分かった」
多分、賢ちゃんが思ってる事は一ヶ月前に私が思った事と同じだろう。
ハートブレイクなのだから、まずは傷付いたハートを修復するのが先で、他の女子の事なんて考えられない、きっとそういう事だ。
「また来るね」
私は少しの笑みを残し、彼の病室を後にした。
病院の出入り口に向かいながら、ぼんやりと彼とした会話を思い返していた。
ーー「……だから嫌だったんだよ」
項垂れた彼がボソッともらしたあの言葉は、一体どういう意味だったんだろう?
いくら頭を使って考えても、答えが出る事は無かった。
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