二度目の好きをもらえますか?
 何に対してのお礼か分からずにキョトンとすると、少し照れた表情で彼が頬を掻いた。

「あれだろ……、一応、心配してくれた、みたいな」

「……あ、うん」

 多分、だけど。友達だし……。

 友達の事を心配するのは……当然。

 勝手にそう思うと、何となく胸の奥がホワホワと温かくなった。嬉しくて自然と顔がニヤついた。

 *

 二学期が始まると席替えがあって、見事に賢ちゃんとは離れた。

 しかしながら私は廊下側の一番後ろの席で、賢ちゃんは窓際の後ろの席なので、左を向くと見えた。

 賢ちゃんとは大分打ち解けたと思う。

 転校直後のような無視も一切なくなって、彼からは「彩月」とか「小谷」と普通に呼ばれて会話も弾むようになった。

 ちなみに名前呼びは学校以外の場所のみだ。

 それに合わせて、私もプライベートでは「賢ちゃん」呼びだけど、学校では「大谷くん」と呼ぶようにしている。

 普通に“友達”として接してくれるのが、嬉しい。

 今までは男友達と呼べる存在がいなかったから、なおさら。

 男子で普通に話せるのは唯一、賢ちゃんだけだ。

 賢ちゃんは快気祝いを叫ぶように、ギプスが取れてから数日でバイクを走らせていた。

 本当に好きなんだなぁと思うと、風と共に走る彼が羨ましくなる。
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