二度目の好きをもらえますか?
*
二時間目が終わり、化学室からの帰り。麻衣子と並んで喋りながら教室へと戻っていた。
……あ。
クラスの友達の男子たちと、廊下で楽しそうに笑う結城くんを見かけた。
私はふと口を噤んだ。
見るたびにキュンとした彼の笑顔とすれ違うが、私の心臓は何の反応も示さない。
胸の上に手を当てて、首を捻った。
「彩月。大丈夫?」
すれ違った結城くんを一瞥し、麻衣子が心配そうに眉を下げた。
「あ、うん。大丈夫」
言いながら二ヘラっと笑みを浮かべた。
いつの間にか私の傷付いたハートも大分修復されたみたい。
良かった、と安堵した瞬間。教室の前扉から賢ちゃんが出てくるのが見えて、ドキッとする。
こちらへ歩いて来る彼を、ついジッと見つめてしまいまともに目が合った。
フッと賢ちゃんが片方だけ唇を持ち上げて笑う。
目はサッと逸らされるが、その笑みが嬉しくて、ギュッと教科書を抱きしめ、無意識に頬が緩む。
隣りに立つ麻衣子が「ふぅん?」と小さく呟いた気がした。
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