二度目の好きをもらえますか?
4.私に男友達がいても不思議じゃないでしょ?
「そう言えば彩月。前に言ってたヘルメットは買ったのか?」
一週間のうち、四日ほど通学時間が重なるので、今朝も賢ちゃんと通学路を同じくしていた。
私は思い出したように言う彼を見上げて、あっ、と口を開けた。
「忘れてた」
私の言葉を受け、彼は呆れて嘆息をもらした。そんな事だと思った、とその表情に書いてある。
「どうする? 今日か明日にでも……一緒に買いに行くか?」
「え、行く行くっ、行きたい!」
その提案に間髪入れずに答えると、賢ちゃんは呆気に取られたあと、くしゃっと顔を崩して笑った。
ドキンと心臓が震えた気がして、私は胸に手を当てる。
前に病院で見た弾けるような笑顔だ。
自然と胸が熱くなる。鼓動が速まる。
「ははっ、じゃあ。どうする? 今日か明日か、どっち行く?」
「……っあ、きょ、今日がいい!」
「じゃあ帰りにホームセンターに寄るとして。いちおう正門出たところで待ち合わせな。忘れんなよ?」
「うん!」
作り笑いでも太陽のような眩しいものでもなく、賢ちゃんが私を見てふわっと口角を上げた。
*
「彩月、良い事あったでしょ?」
「……え?」