二度目の好きをもらえますか?
 上機嫌の理由(わけ)を話せと言わずもがな、「大谷でしょ? 大谷と何かあったんでしょ?」とにまにましながら聞いてくる。

 なので、私も大人しく話す事にした。どうして賢ちゃんが理由だと思ったのかは分からなかったけど、今朝彼とした約束を話した。

「え。それって放課後デートじゃん?」

「は? デート?」

 私は眉を寄せて素っ頓狂な声を出す。

 さも当然といった雰囲気で麻衣子が頷いた。

「だって二人だけで出掛けるんでしょ? デートじゃん」

 うーん?

「私と大谷くんは……。友達だよ?」

 何となく気恥ずかしくなって、頬が熱くなった。

 デートという、いかにもな単語を使われるとくすぐったくてたまらない。

「そっかそっか、なるほど。彩月は順調に恋を育ててるというわけね〜」

 うんうんと数回首肯しながら、全てを把握した口振りで麻衣子に肩をポンとされる。

「だから、友達だって」

 麻衣子の激しい誤解を訂正しておこうと言葉を重ねるのだが。

 麻衣子は「今はね」と言ってニヤついた。


 今はね、って……。


 “男友達”と“好きな人”の境界線は果たしてどこに有るんだろうか?
< 47 / 193 >

この作品をシェア

pagetop