二度目の好きをもらえますか?
 正門を出た場所で立ち止まり、植え込みを背にして腕を組んでいるとツンと頭を小突かれた。

「んう??」

 軽く目を瞑って考えていたので、自然と目が開く。

「何を仁王立ちで考えてんだよ」

 すぐそばに賢ちゃんが立っていて、口をあんぐりとする。若干慌てた。

「っあ! い、行こっか!」

 ロボットみたいな不自然な動きで一歩踏み出すと、「おい」と言って腕を掴まれた。

「そっち逆」

「……あ、ハイ」

 呆れる賢ちゃんと並んで近所のホームセンターへ向かった。

 何だろう、なんだか調子が狂う。

 これはアレだ。麻衣子が変な事ばかり言うから、意識しちゃってる? 的なやつで。

 だからと言って、それを間に受けるほど私も馬鹿じゃない。

 賢ちゃんは友達。小学生以来ゼロ人生だった私の、貴重な“男友達”だ。

 無言で眉を寄せ、そうだ、そうに違いないと自身に言い聞かせていると、不意に隣りから呟きが落ちてきた。

「……フッ、変な顔」

 んん?

 私は顔をしかめ、隣りを見上げた。

「今さりげに私の事ディスった?」

「ハハッ、だって。彩月の百面相、相当ヒドイぞ?」

「ああ! ちょっ、女子に向かってそれは失礼ッ」
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