二度目の好きをもらえますか?

「失恋を癒やすのは、やっぱり新しい恋じゃない?」

 親友の麻衣子(まいこ)は少女漫画片手に、もっともらしい事を言う。

 失恋をした翌日、学校のない土曜日の午前中の事だ。

 落ち込む私を慰めるためか、はたまた私が買いだめた少女漫画を読むためか、麻衣子が家に遊びに来ていた。

 出窓のある壁に寄せて置いたベッドに座り込み、私は卓上に積み上げられた漫画本を見つめた。

 数えるだけで十数冊。まさか麻衣子は今日これを全部読むつもりだろうか?

「ねぇ、彩月(さつき)。確かに漫画では都合よく展開して、パパッと好きな人が現れるかもしれないけど。
 現実世界で考えても、失恋を癒やすのはやっぱり新しい恋だよ」

 積み重ねた漫画本をジトっと見据えたせいか、何か勘違いをさせたみたい。

 麻衣子の熱弁に今度は真面目に取り合ってみる。
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