二度目の好きをもらえますか?

5.恋になる瞬間って恥ずかしい。



 翌日の土曜日、麻衣子と約束をして私は近所のファミレスに来ていた。

 ドリンクバーと共にケーキも注文し、今し方店員さんが運んでくれたチーズケーキを見つめて口角が上がる。

 銀のフォークを持ち上げ、今まさにその鋭角へ突き刺そうとすると、麻衣子がテンション高く話の続きを促した。

「それでそれで? 大谷のバイクでどこまで行ったの?」

 プス、とケーキの中ほどまで沈んだフォークでひと口分を掬い、一瞬、手が止まる。

 どこまで、と冷静さを装いながら考え、そのままチーズケーキを味わった。

 うん、美味しいっ。

「どこまでって言うか、普段の大谷くんの散歩コースを走ったぐらいだよ」

 幾らかの羞恥心をひた隠し、私は平然とうそぶいた。本当は夜景の見える山コースを走ったのだが、何となく言いたくないと思った。

 麻衣子は「ふぅん」と言ってニヤつきながら、チョコレートケーキを口にする。

 賢ちゃんと一緒にヘルメットを買いに行く話をした辺りから、麻衣子にはバイクに乗せてもらう約束をしたと報告していた。

 それが昨日だったものだから、今朝届いたラインでファミレスに誘われたというわけだ。

「で、どうだった?」
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