二度目の好きをもらえますか?
「私思うんだけどさぁ〜。結城くんの時はアレじゃないの、恋に恋してる、みたいな……そんな感じ」

「え?」

「彩月はさ。多分恋してる自分に酔ってたんじゃないかな……だって結城くんとは親しくも何ともなかったから、外見はともかく内面に関しては何も知らないでしょ?」

 う……。

 ちろりと向けられる麻衣子の視線に否定の意がわかず、口元を歪めつつも首肯した。

 確かにそうだ。私は結城くんの外見、雰囲気、笑顔にきゃあきゃあ言ってたぐらいで、ほとんど喋った事もないし、彼の性格については全く知らない。

 言ってみればアイドルに対するファン心理と同等かもしれないのだ。

「それがどういうわけか、大谷とは普通に喋ってるし、仲良いよね? そりゃあ席が隣りだったし家も隣りだから、距離で言ったら近いかもしれないけど、それだけで特定の男子と仲良くなるなんて彩月のキャラじゃないよ」

「……。そうかな?」

「うん。彩月は男友達だってこだわるけど、恋愛対象外ってふうにも見えないんだよね。それは何で?」

「な、何でって言われても」
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