二度目の好きをもらえますか?
「大谷と喋ったり一緒にいる空間が心地いいからだよね? バイクの後ろに乗りたいって思ったのも、大谷には親近感わいてるからでしょ?」

 何というか。麻衣子の言うことがいちいち的を得ていて、何も言えなくなる。

 思えば親近感は最初からあった。小学生の頃に関わりがあったのだから当然だ。

 そしてその事を、私はまだ麻衣子に話していない。

 なので、今さらだと思いながらも白状することにした。

 小学四年生の頃に何故か求愛されていた時期があった事と、転校初日に今は好きじゃないと宣言された事を思い出せる範囲で話すと、麻衣子は予想通り目を丸くした。

「はぁ? マジで? 何それ、超オイシイ設定じゃん! それじゃあ大谷がまた彩月を好きになる可能性もあるってわけだよね??」

 設定って。

 麻衣子の言い草にツッコミたくなるが、敢えて触れない事にする。

「……。う〜ん」

 私は腕組みして考えた。

 それは……どうだろう。賢ちゃんにとって私は変なやつ止まりだからなぁ。何とも言えない。

「彩月っ、頑張りなよ!」

「あ、うん」

 麻衣子の勢いに負け、ぎこちなく頷いていた。

 賢ちゃんに対する気持ちが恋なのかどうか、未だに蜃気楼なのだが、麻衣子は私の恋愛成就に意気込んでいた。
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