二度目の好きをもらえますか?
*
リビングのデジタル時計を確認してから、玄関扉を開けた。
「行ってきまーす」と中に向かって声を掛けると、お母さんの「行ってらっしゃい」が聞こえる。
キィと音を立てて門扉を押すと、途端にその手が止まった。ドキン、と音が鳴る。心臓の内側から誰かが叩いたような気さえした。
「……おう」
いつも通り、同じ時間に家を出た賢ちゃんが丁度私の家の前を通り過ぎるところだった。
「お、はよ」
何となく気恥ずかしい気持ちになり、私は視線を落とし、門扉を閉める。
私たちは特別何も喋らず、同じような歩幅で通学路を歩いていた。
賢ちゃんの隣に並ぶのが恥ずかしいので、曖昧な距離を空けて後ろへ付いて歩く。
何なんだろう、コレ……。何でこんなにドキドキするの? 緊張してる、みたいな。
足元に下げていた視界をおずおずとあげて、彼の背中に目を留めた。
……っあ。
するとたちまち体の奥で何かが爆発した。
金曜日の夜、その背にしがみついていた感触がまざまざと蘇り、それと同時に、彼の体温と匂いまでもが記憶へと呼び起こされた。
ーー「バイクの後ろっていうぐらいだから、大谷と密着したんでしょ? 好きって自覚した?」
っひゃあぁぁあ!!