二度目の好きをもらえますか?
 無理、無理、無理ぃ〜っ!!

 反射的に頬が熱くなり、私は居た堪れなさに慌ててその場にしゃがみ込んだ。

「……え、彩月?」

 急に膝を抱えてうずくまる私を見て、賢ちゃんが焦り、心配する。

「ど、どうした? 腹でも痛いのか?」

 私はそのままの体勢でぶんぶんと首を振った。

 頬から生まれた熱は耳にまで広がり、私は羞恥の塊と化していた。

 何これ、何これ。何なのよ、もぉ〜っ!! 恥ずかしくて、耐えらんないっ!

「……じゃあ、何で」

 困惑から語尾が小さくなる彼を見る事もできず、私は両手で顔を覆ったままスクッと立ち上がる。

「忘れ物っ!」

「は?」

「わわ私、忘れ物、したみたいっ。だから。賢ちゃんは先に行ってて!」

 声を張り上げてひと息に告げると、クルリと踵を返した。

 背後で「ああ」と彼の気の抜けた声がする。

 またトンチンカンな事を言っていると呆れられたかもしれない。相変わらず変なやつだと引かれてしまったかもしれない。

 それでも、今すぐに離れなければいけないと思った。今、賢ちゃんのそばにいたら気持ちがバレると思った。
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