二度目の好きをもらえますか?
 私と賢ちゃんが噂になった事で、当時を知っている男子が、そういえば、という感覚(ノリ)で思い出したのだろう。

 けんちゃんが私を追いかけ回し、求愛行動をしていた過去を。

 私は片手で顔を覆い、ため息をついた。

 麻衣子が言うように、今日だけは登校が同じじゃなくて本当に良かった。

 賢ちゃんとセットで冷やかしを受けていたら、おそらくは顔に出ていた。自覚したばかりで本人にバレるなんて、罰ゲームも同然だ。

 予鈴が鳴り、私と麻衣子は教室に入った。さっきまでの話題には一切触れず、取るに足りない事を喋っていると本鈴が鳴り、担任がドアを開ける。

 出欠を取っている間、私は遠慮がちに左に目を向けた。

 賢ちゃんは右手で頬杖をつき、窓の外を見ていた。

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