二度目の好きをもらえますか?
6.避けられるとこっちを向いて欲しくなるの。
「なぁ、小谷ってマジで賢二と付き合ってんの?」
「……え」
昼休み、私の机で麻衣子とお弁当を寄せ合って食べていると、急に男子から声を掛けられた。
麻衣子から聞いた隠し撮り写真が貼り出された日から、三日が過ぎていた。
あの日から今日に至るまで、付き合ってるって本当? といった類いの質問は何度かされてきたが、たった今受けた問いはどこかニュアンスが違って聞こえた。
「……付き合ってないけど」
「あっ、そうなんだ」
やっぱりな、とでも言いたげに男子はニヤつき、いつも一緒にいるグループへと戻って行く。女子三人、男子四人のグループだ。
以前までは私もああいうグループで、男女関係なく仲良くできたらなと思っていた。男友達という響きに憧れていた。
けれど、賢ちゃんが特別な存在になってからは、羨む事はなくなった。
私はきっと、消極的な自分が嫌で、あのグループの女子みたいになりたいと思っていたのだ。
「今のちょっとウザかったね」
お弁当の最後のひと口である玉子焼きを口に入れ、麻衣子が呟いた。え、と幾らか反応が遅れる。