二度目の好きをもらえますか?
 真向かいに見える部屋は相変わらず黒っぽいカーテンに覆われ、外界を遮っていた。

 一見すると真っ暗だが、カーテンを吊り下げたレールの隙間から細く明かりが漏れ出ている。

 遮光カーテンで部屋は暗く見えるけれど、ちゃんと電気は点いている。

 賢ちゃんの部屋、なんだよね?

 だって前に、私の部屋が丸見えって言ってたし……。

 隣家の窓をジッと見つめながら、私は出窓の床板に腰をかけた。

 賢ちゃんがカーテンを開けてくれないかな、と願い、出来る限りの念を送ってみる。

 その状態で十分が経過するが、隣家の窓に変化はない。

 ……ばかみたい。

 重いため息を落とし、ベッドへ降りた。枕の横で充電しっぱなしのスマホを手に取った。

 ホームボタンを押すと、可愛くデコレーションされたケーキとティーカップの画像が浮かび上がる。

 以前(まえ)に麻衣子と行ったカフェで頼んだスイーツだ。

 それを見るとはなしに見つめ、また嘆息する。

 ……賢ちゃんと連絡先の交換ぐらい、しておけば良かった。

 ベッドに座り込んだまま、何気なしに出窓を見上げた時、隣家から明かりが差しているのに気が付いた。

 え??
< 68 / 193 >

この作品をシェア

pagetop