二度目の好きをもらえますか?
 三段ある引き出しの一番上から、真っ(さら)の消しゴムとカッターナイフを取り出し、消しゴムを約二センチ四方に切った。全部で四つできた。

 私は出窓の床板へのぼり、ガラッと窓を開けた。

 いけ、消しゴム爆弾!!

 渾身の力を込めて、見事真向かいの窓へと命中させる。

 それを三個続けて夢中で投げ続けると、遮光カーテンが勢いよく開いた。

 クレームを避けるため、私はすかさず窓を閉める。そしてさっきのスケブを掲げて見せた。

 賢ちゃんは怪訝な顔をし、私が書いたメッセージを渋々と読んでいた。

 一度彼が窓から離れ、スマホを持って戻って来る。メッセージは届いたと確信した。

 賢ちゃんの目がこちらのスケブと彼のスマホを行ったり来たりする。

 私はスケブを床板に置き、入れ替わりにスマホを掴んだ。

【話したい事があるから電話して! すぐに!! →080×××× ××××】

 真っ白の紙に書いたメッセージと十一桁の番号を一瞥し、可愛いケーキの待ち受けを見つめる。

 パッと着信画面に切り替わった。

『……おい、何の嫌がらせだよ』

 回線を繋ぐと、開口一番に彼は不満を訴えた。
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