二度目の好きをもらえますか?
7.好きな人と同じ時間を過ごせるって、奇跡だ。
まともにこっちを向いた賢ちゃんに、私はへへっと笑いかけた。
『……な、何言ってんだよ』
賢ちゃんは明らかに動揺していた。このまま待っていたら“そんな事できるわけないだろ”と続けられそうな気がした。
「何って。私の気が向いた時にまた乗せてくれるって言ったよね? 確か先週の金曜日に」
『……。そう、だけど』
そう言ったきり黙り込んだ彼は、再び窓に背を向けた。
「ねぇ、どっかドライブにでも行こうよ! ほら、この間の夜景とか見に行きたいし。
私最近ストレス溜まっててさー、なんかスカッとしたいんだよね!」
『……は? って今からかよ?』
「うん、そうだけど。駄目?」
『……』
賢ちゃんの無言からはっきりとした困惑が伝わる。
積極的に誘っている自分に幾らか恥ずかしさを覚えるものの、ただ嬉しかった。
賢ちゃんとまたこうして気兼ねなく話せる事と、彼のぶっきらぼうな口調を聞ける事に、喜びを感じていた。
電話っていいな、とつい当たり前の事すら考えてしまう。
『……晩めしは食ったのかよ?』
「うん、とっくに」
ハァ、と電話ごしにため息が聞こえた。