二度目の好きをもらえますか?
「明日は日曜日なんだから、明るい時間帯にまた遊べるでしょ? 麻衣子ちゃんにもそう言って」

「や、でも。女子だけじゃないんだよ」

「えぇ?」

「お隣りの賢ちゃんも一緒だから」

「……。賢二くん?」

「うん、そー」

 平然と答えるものの、お母さんは僅かに顔を曇らせた。

「最近、私賢ちゃんと仲良くてさ。送ってって貰うようにお願いしたから」

 言いながら鞄の中に入れたスマホを確認する。19:48だから、あと二分だ。

 そう、と力なく言い、お母さんが頬に手を当てる。

「……九時までにはちゃんと帰って来るのよ? お父さんも心配するから」

「分かった」

 行ってきます、とやんわりと笑って言い残し、私は扉を閉めた。

 やばい、やばい、遅刻する!

 慌てて走り出し、私は自宅のある通りから角を曲がった。

 その途端、ドキンと鼓動が跳ねた。

 外灯に照らされた場所にバイクを停めて、少し困った様子の彼と目が合った。

「ご、ごめんね、ちょっと遅れたっ」

 時間にするとおそらく一、二分だと思うが。私は柏手を作り、彼へと駆け寄った。

「それはいいけど。親に止められなかったか?」
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