二度目の好きをもらえますか?
「あ〜……うん。夜出歩いたら危ないってお母さんに言われて」

 好きだと自覚したばかりの彼をまともに見れなくて、私は地面に目を据えた。

「はぁ? まさかそれで無理矢理出て来たんじゃないよな?」

 ……え? あっ、やばっ!

「ああ、うん。それは大丈夫! 友達に呼び出されたからってちょっと麻衣子をダシに使ったけどね。お隣りの賢ちゃんにファミレスまで送って貰うからって言ったら許してくれた」

 片手を振ってひと息に事情を説明すると、賢ちゃんは怪訝な顔で黙り込んだ。

「あれ、何かまずかった?」

「いや」と言ったきり片手で頭を抱え、賢ちゃんは少しだけ項垂れた。

「それはそれで、何か微妙な気もするなと思って」

 微妙? 何がだろう?

 意味が分からなくて、私は首を傾げた。

 彼はハンドルに掛けていたピンクのヘルメットを取り、私に手渡してくれる。

「とりあえず、走るか」

「あっ、うん!」

 彼の微かな笑みを目に捉え、一度大人しくなった心臓がまた騒がしくなる。一目惚れのヘルメットを被り、覚悟を決めた。
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