二度目の好きをもらえますか?
 ありがとう、と柏手で感謝を述べると、麻衣子はふふん、と笑い、本棚からまた少女漫画を出した。相変わらずだ。

 ロールスクリーンの上がった出窓に視線を飛ばし、私はその先にある賢ちゃんの部屋をジッと見つめた。遮光カーテンは依然として閉まったままだ。

「そ、そうと決まったら私、賢ちゃんにラインしてみるね!」

「うん!」

 賢ちゃんのトークルームに移り、文字を打っていると横から麻衣子が覗いてくる。

【昨日の話】

【麻衣子、オッケーだって】

 語尾に親指を立てた、ナイスの絵文字を付けて送ると、スポッと音が鳴る。

 そのまま暫し待つが、なかなか既読にならない。肩にポンと手が載った。

「まぁまぁ、そのうち見るでしょうよ」

 無意識にため息をついていたようで、私は上擦った声で頷いた。

 結局、賢ちゃんからラインの返事が届いたのは、夕方、麻衣子が帰った後の事だった。

【了解。こっちも大丈夫だと思うから、週明け集まって話しよう】

 き、き、き、キターー!!

 賢ちゃんからの初メッセージだ。

 両手でスマホを掲げながら、派手にベッドへダイブする。
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