二度目の好きをもらえますか?
 だとしたら、私も安心だ。

 ホッと胸を撫で下ろし、私は休み時間、彼に話しかけてみる事にした。

「ねぇ、四年の時、同じクラスだったよね? 私、小谷(こたに) 彩月(さつき)。覚えてる?」

 けんちゃん、もとい、大谷くんはあからさまに嫌そうな表情(かお)をした。

 そして、ガタ、と椅子を引くと「ごめん」と言葉が降って来る。

「俺に話しかけないで」

 え?

 そのまま廊下へ出て行く彼を目で追っていると、不意にそばで麻衣子の声がした。

「なんか、転校生。クールだよねぇ……」

「……そだね」

 クール? あのけんちゃんが?

 子供の頃の彼、それも一時期のけんちゃんしか知らないので意外ではないのだが。

 何となく違和感を感じた。


 *


「あのさ。勘違いされたら嫌だから言っとくけど。
 俺は別に、アンタの事を好きとかそんなんじゃないからな?」

「……え」

 その日の帰り。下駄箱で靴を履き替えていると、すぐそばにいた大谷くんに指をさされて念押しされた。

「……う、ん。分かってるつもりだけど」

 いったい何だろう?
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