if…運命の恋 番外編Ⅲ『愛に変わるとき』
エレベーターの扉が開かれ、上階の展望台に足を踏み入れ周りを見渡した。
平日の夜だから、そんなに混雑していないようだ。
これなら、春子も後から来ても僕をすぐにみつける事ができるだろう
そんな風に思って夜景が見渡せるガラスの方に歩きをすすめた。
数年で東京もかなり変わった。
きらめく摩天楼、前に何度も足を運んでいたあの頃には
ただ、美子を待つだけで、こんな風に景色を見る事はなかった。
ただ、夜景を眺めながら昔を思い出していた。
「勇さん」
俺の名前を呼ぶ声に、後を振り向けない。
その声には、聞き覚えがあったからだ。
「勇さん、片瀬勇さんですよね? 私です、、美子です」
ゆっくりと後に振りかえり、その声の主をみた。
それは、本当に美子だった。 俺は固まったまま驚きで声を出せないでいた。
「来て下さったんですね? お手紙を読んで下さったのね?」
『手紙?』
「ええ、今日ここでお待ちしていると書いて出した、、」
俺は、そう言う美子に首を横に振って”違う”という意思表示をした。
美子は、そんな俺を黙って見つめたまま聞いてきた。