if…運命の恋 番外編Ⅲ『愛に変わるとき』

「では、ここへは、どうして?」

『俺の妻と息子と一緒に来ました』

「・・そうなんですね。ごめんなさい。私ったら、勇さんがご結婚されて
いるなんて知らなくて、、それでお手紙をだしてしまいました」

『・・美子さんもご結婚されてますよね?』

「・・・はい」

『あの頃はお祝いの言葉も伝えられなくて、、結婚おめでとう』

俺は精一杯の笑顔を作って、美子にそう言うと
その言葉に、少しだけ笑みを浮かべた。
いや、笑っているように見えただけかもしれない。タワー内のライトは明るさをかなり抑えているし、俺と美子の距離は3メートルは離れている。


「勇さん、私ね、どうしても、どうしても、
  貴方に私の気持ちをお伝えしたくて」

『・・美子さん・・』

「あのね、あの頃から私、貴方の事を、、」

美子の言葉を聞くには、すでに年月が経ちすぎていた。
それに、自惚れかもしれないけど、聞いてしまってどうにかするつもりもない。


『美子さん、聞いてください。俺は妻を愛しています。
今も、それからこれからも大切な女性です』

「勇さん、、」

『今日ね、きっとこの日に合わせて、妻が俺をここに連れて来たんですよ。
妻はいつも勝手に勘違いする奴なんですよ。 だから貴女からの手紙を読んで、俺がまだ貴女の事を思い続けているなんて、思ったんでしょうね』

「・・勇さん、私・・」

『貴女も、、美子さんも幸せになって下さいね。ずっと俺はそう願ってました』

「・・・・勇さん、ありがとう」

『美子さん、お元気で』


< 11 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop