if…運命の恋 番外編Ⅲ『愛に変わるとき』
愛なのか?
私の初恋、勇さんに好きだとさえ言えなかった
「美子さん、準備は整いましたか?」
「あッ・・・」
私のフィアンセ、父の選んだ大澤篤史さんがドアの外から声をかけてきた。
静かに部屋のドアが開いた。
タキシード姿の長身の彼が私の方を見て会釈したあと、手を差し出す。
私は今日、彼の元へ嫁ぐ。
私の気持ちは永遠にこの胸にしまったまま。
私の周りの誰もが望む彼との縁は
私に愛する男性がいようと、それは問題にならない。
厳格な父が用意した私の生涯の伴侶
私はその縁を絶ちきる勇気も、術も知らなかった。
忘れようとした。
忘れなければならない男性だと思った。
なのに貴方の実家の住所を偶然に知って、私は初めて行動に移した。