バチラスライン/SFショートショート選③

キター‼

キター‼




”何なんだ…。この地響きのような鳴動感は…。始まったのか⁉”

『ねえ、始まったの?ホシオ…、何か、カラダの底が揺さぶられてるような気がするわ。アナタはどう?』

「うん、揺れてる感がしてる。世界中で通信が行きかって、シンカンセンがすれ違うような轟音が無音で耳に届く感じかな…」

『ちょっと、コワいわ、ワタシ…。最後まで、離さないでね、ワタシを…』

「モチだよ、メリッサ💖これから何が起ころうとも、キミはオレが守る。オンライン越しで…」

まるで映画の主人公のようなキブン…。
シゲキ的なこの感覚…!
ホシオとメリッサは、このハッシャ祭りという世界レベルのイベントにカップル参加してる人々も、世界中で皆同じ体感を同時共有していると思うと、もう実が咲かれんばかりのコーフンに襲われた。

💀💀💀

言ってみれば、何億人もがカップルでディズニーのジェットコースターに同乗してるような疑似錯覚…、そんなところだったのだろう…。
だが、現実に同乗していたそのジェットコースターは、そんな生ぬるい気分を完膚なきまでに伸されるのだった。
それはこの後間もなく…‼

💀💀💀

”ドドドドオ…”
地の底、空の果てから轟音を伴いながら、こっちに向かってくる…。
そんな感じはやがて確信に近づいてきた。
これも世界中、同時に…。

『キタのね‼何かが起こてるのよね…、ホシオ⁉』

「そうみたいだ。…何なんだ、この轟音感は音はしないのに、ゴオオ…って、遠いところから押し寄せてるのが脳の深いところで感知してるみたいだ」

『ワタシもそんなカンジよ‼ねえ…、コレ!…アナタの国でいつか起こったツナミのカンカクに似てない?私、ドーガで観てシッシンするくらい驚いたわ。ディスプレイからゴオオーって、体の芯を震わされるようなヘンな感じで、とてもコワかった。その時に似てるわ!』

「確かにだ!津波…、うん、この押し寄せ感は来てるって肌に伝わってくる。トリハダもたってるし…。メリッサ…、我々が地球上の通信網を同時使用するって試みは、予想以上に物理的平衡状態を刺激してるのかもしれない。ひょっとして…」

『ナニ⁉どんなすごいことが起きるって言いうの、ホシオ…』

メリッサはだんだんと心細くなってきた。

「今、リアルタイムの受信を確認したら、世界中、みんなオレたちみたいな感覚だそうだ!これって…」

『コワいわ、ホシオ…。ねえ、抱いて❣』

「ああ、抱いてる。愛してるよ、メリッサ❣何が起ころうとも、二人はイッショさ!」

『イエス❣どこまでもイッショよね、ワタシタチ…』

もはや二人はマジ状態で地の果てまで共にというカクゴに達していた。」オンラインを通じて。

💀💀💀

そしてナニカはついに襲った。

”キター!!!”

ついに…。
この三文字も世界同時ハッシャされた。


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