ゲームセット
あ・・・


この人・・あたしを助けてくれたんだ。


「ありがとう・・ございます。」


でも、囚人は−・・


「死んでないわよ」


えっ


「これは麻酔銃よ。わたしはむやみに人を殺さないわ。」


良かった・・・


ふいに、そう思った。


こいつはあたしを殺そうとしたけど・・・やっぱり人が死ぬのはいやだ。


でも、この人は一体何ものなんだろう。


銃なんか持ってて・・


プロとしか思えない。


「あなた、名前は?」


いきなり名前を聞かれて、びっくりした。


「桜葉奈和です。」


「ナオ・・いい名前ね」


なぜ、こんな時でもそんなことを言える余裕があるのだろう。やっぱり、この人は、ただ者じゃない。


「わたしは、立花響華よ」


たちばな きょうか。


なんだかこの人に似合う、強くて美しい感じがした。


「よろしくね、ナオ。」


「はい。」


「これからは一緒に行動しましょう。」


え・・・


それは奈和にとって心強いものだった。


「はい!心強いです!」


奈和はここに来て初めて喜びの声をあげた。
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