ゲームセット
ふいに、一人の黒服が話しはじめた。


「あなたにはこれからあるゲームをしてもらいます。」


ゲーム・・?


「この園内にはあなたを含め計二十人の男女がゲームに参加しています。あなたは二十番なので、このゼッケンを着て下さい。」


黒服にわたされた赤いゼッケンを素直に着る。


「この園内には服役中の囚人がどこかに隠れています。」


は・・・?


「服役中の囚人って・・・!なんでそんなのが遊園地に・・!」


「ええ。しかも殺人を犯した本来なら死刑の囚人です。ですから、あなたがた二十人にはその囚人たちから逃げてもらいます。制限時間は二時間。たったの二時間です。」


奈和は混乱していた。


「ちょっ・・ちょっと待って下さい!あたしは・・・遊園地のバイトで来たんです!」


「生き残れば一千万。」


い・・一千万・・・?


「あなたは家が大変なんですよね。たったの二時間逃げ切れば一千万です。」


もし、逃げ切れば−


お母さんや妹に楽な生活があげられるかもしれない・・・!



「やりますか?」


奈和は自分の命などおしくなかった。


ただ・・・


家族に楽な生活をしてほしい一心で−


「あたし・・・」


「やります・・!」
< 7 / 106 >

この作品をシェア

pagetop