君に、虹色の恋をした。
「飛颯くん、自転車なんだね」

「あー、せやな。歩きやとちょっと遠いかなって感じやし」

「そうなんだ。私すぐそこだから歩き。私も自転車がいいけど、近いからお母さんに歩けって言われて。太るよーってさ」

「紗奈ちゃん太っておらんよ。てかむしろ、ちゃんと食べてるん? って感じやし」

「お母さん、そういうところだけうるさいんだよね……」

「まあ、俺のおかんもそんな感じやわ」

 他愛もない話で楽しむのは本当に久しぶりだった。

 そもそも友達がいない私に、しかも会ったばかりのときあまり笑っていなかったらしい私と仲良くしてくれて。優しすぎるしかっこよすぎるし、完璧すぎるし。結構なイケメンで、実は高跳びの時も数人の女子が騒いでいた。

 そしてその時私は、ちょっとした嫌悪感もあった。飛颯くんが彼女達を見ないか心配で、怖かった。でも飛颯くんは私に手を振ってくれたりして、それがすごーく嬉しかった。

 なんかどんどん飛颯くんに侵食されていく。

 私が変わっていく。

 それもこれも全部、飛颯くんのせいなんだろうな。
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