君に、虹色の恋をした。
 帰宅部である私は、帰りのホームルームが終わると、少し現実逃避をする。

 目を瞑って、周りの声に耳を傾けながらも世界を見ない。一見高度な技にも感じるけれど、案外そうでもないのは確かだ。

 運動部系はすぐにその場所に向かい、今日は部活がない人と室内部系が教室に残って談笑していた。

 よし、帰ろう。

 目を開けると、変わらず談笑する男女達が目に映った。
 くっと目を逸らして廊下を歩く。

 一階の昇降口まで行くと、上履きをローファーに履き替えた。

 校庭には、陸上部の男子達が大勢いて高跳びをしていた。

 そして今ちょうど、飛颯くんが空を舞う。
 綺麗なフォームで跳び越え、すとんと着地した。

 なんて綺麗な高跳び……。
 そう思わずにはいられなかった。

 そんな飛颯くんに見惚れてしまっていると、私に気がついたらしくこちらに向かって走ってきた。

「今の俺の、見てくれたん?」

「え? あ、うん」

「あれ、俺、これまで以上に上手くいったやーって思ったんよ。そしたら紗奈ちゃんおるやんかー。いやー、俺の見てくれてありがとな」

 私が勝手に見てただけなのに。

 そんな、ありがとうとか、優しすぎるでしょ……!
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