さよなら、坂道、流れ星
第5話 告白
昴は恒が亡くなったすぐ後、中学の先輩と付き合い始めた。
「すーく…昴、七瀬先輩と付き合ってるの?お昼一緒に食べてたけど…」
中学2年の千珠琉が訊ねた。
「ん?うん。」
隠す風でもなく答えた昴に胸がキュ…と軋むような感覚を覚えた。
「…どうして…?」
「どうしてって、告られたから。」
この頃の昴は恒が亡くなったことで所属していたバスケ部も休部するなど精神的に荒れていることが見て取れた。
七瀬先輩は女子バスケ部の三年生だ。
「ふーん…そうなんだ。」
平静を装ったが、胸がざわざわして堪らなかった。
(やだ やだ やだ やだ…)
千珠琉は自分が昴に対して恋愛感情を持っていることに、この時初めて気がついた。
それまでは自分以外の女子と必要以上に絡んでいるところを見たことがなく、14年間誰かに嫉妬する場面がなかった。それが初めて、自分以外の女子と昴が自分が知らないところで親密になっている。
「七瀬先輩のこと好きなの?」
「恋愛としてって意味?」
「ん、うん…」
自分でも余計な質問をしてしまった気がした。「yes」と言われたら、気づいた瞬間に失恋してしまう。
「いや、わからん。」
昴の答えは予想と違った。
「わかんないのに付き合ってるの?」
「………別に良いじゃん。付き合ってたら好きになるんじゃね?むこうだって部活引退してヒマなだけだろ。」
ツンとした物言いで昴が答えたので、千珠琉は何も言えなかった。
恋愛感情に気づいたのはついさっきだし、傷は浅い、気づかなかったことにしよう、と決めた。
「すーく…昴、七瀬先輩と付き合ってるの?お昼一緒に食べてたけど…」
中学2年の千珠琉が訊ねた。
「ん?うん。」
隠す風でもなく答えた昴に胸がキュ…と軋むような感覚を覚えた。
「…どうして…?」
「どうしてって、告られたから。」
この頃の昴は恒が亡くなったことで所属していたバスケ部も休部するなど精神的に荒れていることが見て取れた。
七瀬先輩は女子バスケ部の三年生だ。
「ふーん…そうなんだ。」
平静を装ったが、胸がざわざわして堪らなかった。
(やだ やだ やだ やだ…)
千珠琉は自分が昴に対して恋愛感情を持っていることに、この時初めて気がついた。
それまでは自分以外の女子と必要以上に絡んでいるところを見たことがなく、14年間誰かに嫉妬する場面がなかった。それが初めて、自分以外の女子と昴が自分が知らないところで親密になっている。
「七瀬先輩のこと好きなの?」
「恋愛としてって意味?」
「ん、うん…」
自分でも余計な質問をしてしまった気がした。「yes」と言われたら、気づいた瞬間に失恋してしまう。
「いや、わからん。」
昴の答えは予想と違った。
「わかんないのに付き合ってるの?」
「………別に良いじゃん。付き合ってたら好きになるんじゃね?むこうだって部活引退してヒマなだけだろ。」
ツンとした物言いで昴が答えたので、千珠琉は何も言えなかった。
恋愛感情に気づいたのはついさっきだし、傷は浅い、気づかなかったことにしよう、と決めた。