さよなら、坂道、流れ星
「今日どこ行くの?自転車で。」
「ん?そうだなーどうしよっかな。」
流れ星を見るのに行き先を決めていないらしい昴に驚く。
「…流れ星見るんだよね?」
「うん、そう。坂の上の方が良いな。乗る?」
千珠琉は首を小さく横に振った。
行き先が決まっていないのは不思議だが、どこに行くにしてもゆっくり歩いて行きたいと思った。昴と並んで、おしゃべりしながらゆっくり。
「じゃあ坂の上まで歩くか。」
昴は自転車を押しながら歩き始めた。
「朱代さん、結婚するんだね。」
「ああ、うん。」
「おめでとうゴザイマス。」
そう言って、小さくぺこっと頭を下げた。
「ありがと。まぁめでたいのは朱代さんだけどね。」
昴が少し他人事のように言ったように見えた。
(恒さんが亡くなって3年、か…。どうなんだろ、昴から見たらもしかしたや朱代さんの再婚てまだ早いのかな。)
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