さよなら、坂道、流れ星
———ヒッ…クッ……

千珠琉は嗚咽を漏らし、向き合っている昴の肩にギュッと握りしめた手を置いた。昴はそっと千珠琉の背中に手を回し、よしよしと(なだ)めるようにさすった。千珠琉は幼い子どものように泣き出してしまった。
「そうやって一生懸命だったチズに、俺は励ますふりして呪いをかけちゃったんだよな…」
千珠琉は首を大きく横に振った。
昴の言っている意味は理解できたが、昴の言葉を“口に出さなければ願いごとが叶う”と、心の拠り所にして過ごしてきたのも紛れもない事実だ。
そして今その拠り所を失って、一番叶えたい願いが流れ星のかわりに流れて消えてしまったような絶望感が胸に湧いていた。

(今の私の願いごとは、口に出さなくても叶わない…)

そんな千珠琉の表情を読みとって、昴が言った。
「チズの願いごとは俺が叶えるよ。」
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