さよなら、坂道、流れ星

第13話 一番

——— チズの願いごとは俺が叶えるよ。

思いがけない昴の言葉を、千珠琉は頭のなかで反芻(はんすう)した。

「…うそつき」
千珠琉は泣きながらボソッと呟いた。
たしかに、千珠琉の願いごとを叶えられるのは昴だけだ。それでも簡単に叶えられないことはわかる。
「嘘じゃない。」
昴は千珠琉の両手を手のひらでつかまえ、子どもに言い聞かせるようにそっと包んだ。
それがまた千珠琉の胸をより一層苦しくした。
「そうやって優しくするけど、叶えられない約束されたら余計に苦しくなるよ…」
「………」

昴は少しの間考えるように黙ってから口を開いた。
「チズ、願いごと言ってみて。」
「………」
「嘘かどうか、願いごと言わなきゃわからない。」
昴は千珠琉の顔を覗き込むように、しっかり目を見つめて言った。
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