さよなら、坂道、流れ星
「あ!」
何かを思い出したように千珠琉が声を発した。
「何?」
「あった、願いごと…知りたいこと!」
「何」
昴は怪訝そうな表情《かお》をした。
「昴、最近お金貯めてるって言ってたけど、何のため?引っ越しじゃないよね?」
「このタイミングでそれか…」
と言って、昴はフゥ…と一呼吸吐いた。
「金が欲しかった理由はいくつかあるんだけど…」
「うん」
千珠琉は真剣に聞いている。
「バイク買いたいんだ。」
「え?昴もう持ってるじゃん…。」
自分が知らないうちに昴が手に入れていたバイクを思い浮かべた。
「あれは先輩が乗らなくなったやつを格安で譲ってもらったやつ。もうちょい良いやつ買いたいんだ。」
「ふーん…」
つまらなそうに千珠琉は言った。
(そんなにバイクが好きだったんだ…。)

「バイクがあったら、いつでも小清瑞に帰ってこれるから。」
昴が言った。
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