The previous night of the world revolution~P.D.~
「やっほー、皆さん。お待たせしました」

「おう、おせーよおめーら!イチャコラしてやがったな?」

待ち合わせ場所には、既に仲間達が揃っていた。

待たせてしまったようだ。申し訳ない。

ちょっとルトリアさんを冷やかしに行ってまして。

「えぇ、イチャコラしてました」

「やれやれ、そーだろうと思ったぜ」

「おい待て、ルレイア、アリューシャ。勝手なことを言うな」

と、口を尖らせるルルシーである。

イチャイチャしてたじゃないですか。さっきまで。

さては、皆に知られるのが恥ずかしいんですね?

全く、そういう恥ずかしがり屋なところもしゅき。

「も〜、ルルシーったらシャイなんだから…」

「何処かだ。お前が勝手にそう言ってるだけだろうが」

と、いう俺とルルシーの、微笑ましいやり取りを。

ルーチェスとルーチェス嫁が、じっと見つめていた。

「見てください、セカイさん。これがリアルBLですよ」

「ほんとだぁ…。何だか尊いね。ルーチェス君がハマるのも分かるよ」

でしょう?

何だか照れますね。

「おい、そこの腐夫婦。言わせておけばさっきから…」

「まぁまぁ、こんなときに喧嘩するのはやめようよ。もうすぐライブが始まるよ?」

アイズがそう言って、ルルシーを諌めた。

さすが。大人の貫禄。

「あのな、こういうときにきちんと釈明しておかないから、俺とルレイアが夫婦だとかいう間違った認識が、各方面に広がって…」

「そうだね。後で聞いてあげるから。さぁ、席に着こうよ」

「何で俺が駄々っ子扱いなんだ?」

アイズにかかれば、ルルシーも駄々っ子扱いですよ。

「大体ルレイア、お前が悪いんだぞ。お前がいつも誤解を招くようなことばっかり…」

「シュノさん、どうです?夏フェス満喫しました?」

「うん。でも、買おうと思ってたベーシュちゃんのアクリルスタンドが売り切れで…」

しょぼん、と俯くシュノさんである。

あー、あのアクスタ…。初日からかなり売れ行きが良かったと聞いている。

最終日の今日までに、既に完売してしまったらしい。

しかし、落ち込むことはない。

「大丈夫ですよ。まだ交換用の在庫がいくつか残ってるので。一つもらってきて、シュノさんにあげます」

「え、本当?良いの?」

シュノさんの顔が、ぱっと明るくなった。

「勿論ですよ」

こんなときの為の、スポンサー特権ですから。

「やった。ありがとう、ルレイア」

「いいえ、どういたしまして。シュノさんに喜んでもらえて何よりです」

じゃ、この後ライブが終わったら、取りに行くとするかな。

…それから。

「ルリシヤはどうですか?楽しんでます?」

「あぁ。いくつかコラボメニューを堪能させてもらった」

ほう。ルリシヤもブラックソフトクリームと、ブラックサンドイッチを食べたのだろうか。

あれ美味しかったですよね。

「全種類コンプするつもりだったんだが、如何せん待ち時間が長くてな。ブラックオムライスと、ブラックチュロスが食べられなかった。残念だ」

ルリシヤは、律儀に列に並んだんですね。

それなら、俺に言ってくれれば良かったのに。

しかし、まだ遅くはない。

「それなら、これが終わった後ルリシヤのもとに届けさせますよ」

「そうか、それは悪いな。では遠慮なく」

「オムライスとチュロスで良いですか?」

「ブラックティーフラッペも頼めるか。あれは美味しかった」

「お安い御用ですよ」

じゃ、後で作らせて、ルリシヤのもとに届けさせよう。

もっと早く言ってくれれば、ルリシヤが並ぶまでもなく、全メニュー届けさせたのに。

そんなやり取りを見ていたルルシーは、一言。

「…お前ら。俺の話を聞け。そして権力の濫用をやめろと、何度言ったら分かる」

いやん、ルルシー。

それは言わないお約束。
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