The previous night of the world revolution~P.D.~
――――――…『青薔薇連合会』に立ち入り調査を行ってからというもの。

私達帝国自警団は、絶えず『青薔薇連合会』の動きを見張っていた。

何か怪しい動きがないものかと。

しかし、これまで私達は…『青薔薇連合会』を検挙するに足る証拠を、何も掴めずにいた。

…不甲斐ないばかりである。

私がルティス帝国に帰ってきたからには、『青薔薇連合会』にこれ以上、好き勝手なことはさせない。

そう誓ったはずなのに…。

現状私は、二の足を踏んでいる状態だった。

各方面から『青薔薇連合会』について…そして、ルレイア・ティシェリーについて調べているのだが…。

あの狡猾な男、噂だけはごまんとあるのだが…確かな証拠は何も残していない。

…厄介だな。

でも、例え噂だけだったとしても、それは大事な情報だ。

その噂を辿って、『青薔薇連合会』の…ルレイア・ティシェリーの実態を掴む。

焦る必要はない。いずれは必ず、『青薔薇連合会』を止めてみせる。

帝国騎士団と『青薔薇連合会』の癒着を暴き、人質になっているベルガモット王家の皇太子を解放するのだ。

それが、帝国自警団のリーダーである私の使命だ。

…そして、この日。

帝国自警団に、また一つ有益な情報がもたらされた。

…と、いうのも。

「…帝都で開かれた屋外イベントに、ルレイア・ティシェリーが参加してる?」
 
「あぁ。非番の団員が偶然、このイベントに参加して…。そこでルレイアを見つけたらしい」

「…そんな偶然が…」 

ルレイア・ティシェリーは神出鬼没。何処に現れるか分からないのに。

偶然、非番の団員が見つけたとは…。

これはお手柄だね。

「でも、それは本当にルレイアなの?確かな情報?」

話しかけて確認した訳じゃないんだよね?

遠目から見ただけなら、ただ似ているだけの別人という可能性も…。

「見間違えるはずがないよ。ブロテも見ただろう?…あんな男は、ルティス帝国に二人といないよ」

と、報告に来たセルニアが言った。

…そうだったね。

忘れようと思っても、忘れられるはずがない。

「それに、証拠として…写真を撮ってきたって」

「写真?」

「遠くから、スマホで拡大して撮った写真。一枚しかないけど…」

「見せて」

そう言うと思ったとばかりに、セルニアはすぐに、クリアファイルに入っていた写真を見せてくれた。

若干ぼやけた写真だったが、そこに写っている顔は…間違いなかった。

「…ルレイア・ティシェリー…」

疑う余地もなく、私達が追っている人物その人であった。
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