The previous night of the world revolution~P.D.~
帝国自警団…か。

個人的には、彼らのことは悪い印象を持っていない。

ルティス帝国の正義を守り、秩序を守る存在。

俺だって、帝国騎士団に入れなかったら帝国自警団に入ろうと思っていたこともある。

…しかし、今の帝国自警団は…。

…どんな風に振る舞ったら良いのか、分からないな。

「ルレイア殿に尋ねても、返事は期待出来ないと思いますが…」

「聞く必要はないさ。ただ、あいつらがどんな様子か見てきてくれるだけで良い。お前の主観で構わない」

「…分かりました」

俺は、ルレイア殿と一つ屋根の下、同居していたときのことを思い出した。

今でも、自分が「あの」ルレイア殿と半年あまりに渡って、同じ部屋に同居していたなんて信じられない。

半年間も、どうやって凌いだんだろうと疑問に思うくらいだ。

「まぁ、あいつなら何があろうが、余裕綽々だろうけどな…」

「…俺もそう思います」

何なら、天国からお迎えが来ても、余裕たっぷりの顔で待ち受けてそうだ。

それどころか、お迎えを撃退してしまいそうな勢い。

帝国自警団が『青薔薇連合会』に何をしようと、ルレイア殿達は動じないだろう。

…そういう意味では、帝国自警団が少し気の毒になってしまう。

『青薔薇連合会』を敵に回すのは、非常に難しい。

自分が失敗したから、よく分かる。

帝国自警団は、ルティス帝国でもっとも厄介な組織を相手にしているのだ。

…正直、これまで長い間空気のような存在だった帝国自警団に、今の『青薔薇連合会』を…そして。

あのルレイア殿を、御しきれるとは思えない。

…あまりに無謀だ。

不干渉の原則があるから、俺が口を出すことは出来ないが…。

…帝国自警団は、まだ『青薔薇連合会』の本当の脅威を知らないのだろう。

かつて、俺がそうだったように…。

…すると。

「…よし、分かった。ルーシッド」

と、オルタンス殿が言った。

お。

ようやく納得してくれましたか。

良かった。これで、俺も後腐れなく箱庭帝国に、

「スーツケースに俺を入れてくれ。荷物としてついていく。それなら良いだろう?」

ずっこけるかと思った。

オルタンス殿、あなたはそれで満足なんですか?

「…申し訳ないですが、それは無理です」

「…無理なのか?」

「無理です」

「…」

そんなしょんぼりされると、罪悪感が。

「ルーシッドを困らせるんじゃねぇよ、いい加減諦めろ」

と、アドルファス殿が言ってくれた。

ここにアドルファス殿がいてくれて、本当に良かったと思った。

「…仕方がない。じゃあ、毎時間ルレイアの写真を俺に送ってくれ。それで納得するから」

とんでもないお願いをされてしまった。

「いや、あの…」

「だから、ルーシッドを困らせるなっての。ルーシッド、気にするな。この馬鹿のことは」

「…はい…」

「あぁ、ルレイア…。ルレイアと旅行に行きたい…」

「駄々っ子かよ」

…えぇと。

何だかカオスな状況になってきたんだが…何も見なかったことにして、箱庭帝国に行ってきて良いだろうか。
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