The previous night of the world revolution~P.D.~
ま、式典を開いた動機なんて、どうでも良いや。

「それに、『青薔薇委員会』の十周年は、もう少し先ですから。そちらも祝典を開こうとは思ってるんですが、そのときは…」

「そんなことはどうでも良いんですけどね」

「…はい」

それより、俺はルアリスに聞きたいことがあるのだ。

「どうでも良いって…。ルレイア殿が先に聞いてきたんですが…」

「それよりルアリス。つかぬことをお聞きしますが」

「はい、何でしょう?」

「お宅の嫁と娘の姿が見えないんですが、何処で何やってるんですか?」

折角、お宅の娘が「美味しく」仕上がってるか見てやろうと思ったのに。

この場にいないんじゃ、話にならない。

「あ、はい…。今日は、二人は参加してないんです」

「え?何で?」

「人がたくさん来るので、小さい子供は参加しない方が良いかと…。それに、ルレイア殿も参列されるので…会わせない方が…」

と、ルアリスぼそぼそと呟いた。

俺が来るから何だって?

むしろ、俺が来るから娘を連れてこないと駄目だろう。

「なーんだ…。予定通り『美味しく』育ってるなら、そろそろ唾でもつけておこうかと思ったのに…」

「…」

「そうだ。もう少し大きくなったら、ルティス帝国に留学させると良いですよ。俺が責任を持って、お宅の娘に『英才教育』を施してあげます」

「…それは…。その、遠慮します…」

何だと?

俺が直々に教えを施すなんて、滅多にない良い機会だというのに。

こうなったらルアリスの家に忍び込んで、娘を攫って帰るか?

「やっぱり女は『美味しく』ないと駄目ですよ。『不味い』女は食えたもんじゃありませんからね。何でも食べ物は美味しい方が…もがもがもが」

俺が、こんなにも親切にアドバイスしてあげているのに。

ルルシーが俺の口を塞いで、これ以上喋らせてくれなかった。

いやん。

「ごめんな、本ッ当…。躾が全然なってなくて…」

「いえ…あの、慣れてるので…大丈夫です」

「心配しないでくれ。俺の目の黒いうちは、お前の娘に指一本触れさせないから…」

「…宜しくお願いします」

ちょっとルルシー。何言ってるの。

俺の「英才教育」が気に入らないとでも?

「ほら、行くぞ馬鹿ルレイア」

「もが〜っ」

ルルシーに無理矢理引っ張られ。

強引に、俺はその場を離れさせられた。

ルルシーったら、皆の前で大胆。
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