The previous night of the world revolution~P.D.~
「全く…。お前の頭の中には、煩悩しかないのか?」

と、ぶつぶつ言うルルシーである。

失礼な。

「俺はただ、子供に正しい『食育』を施そうとしてるだけじゃないですか。大事ですよ?食育」

「食育って、そういう意味じゃねぇよ」

え?

他にどういう意味があると?

「いい加減、お前は箱庭帝国に連れてこない方が良いかもしれない…」

ちょっとルルシー。それは言い過ぎというものでしょう。

俺はこんなにも純粋な心を持っているというのに…。何が悪いんだ?

…と、思っていたそのとき。

「ルレイア殿、ルルシー殿…お久し振りです」

「ん?」

名前を呼ばれて、振り向いてみると。

何処かで見覚えがあるような、ないような人物が立っていた。

…えっと…。

「…何だっけ。ルニキス?」

「…ルーシッドです。ルーシッド・デルマ・スヴェトラーナ。帝国騎士団四番隊隊長の」

「あぁ、何だ。スヴェトラーナの坊っちゃんですか」

「…」

俺は事実を言っただけだというのに、何故か無言になるルーシッド。

そして、ルルシーは俺の後頭部を、ベシッと引っぱたいた。

痛い。DVですか。

「何するんですか、ルルシー」

「お前が何を言ってんだ。ルーシッドに失礼だろ」

ルーシッド?

帝国騎士団の隊長相手なんて、いくら無礼を働いたってノーカンだろうに。

しかも、こいつは俺の後釜だろう?

それなのに。

「ただでさえ、ルティス帝国総合大学に行ってる間、ルーシッドには散々迷惑をかけたって言うのに…」

ルルシーは、非常に申し訳無さそうに言った。

え?大学?

…そんなことありましたっけ?

あまりにどうでも良いから、俺の記憶から削除されてましたよ。

「済まんな、ルーシッド…。この馬鹿のことは無視してくれて良い」

「あぁいえ、あの…。…はい」

はいって何だよ。

俺を無視するとは、スヴェトラーナの坊っちゃんの分際で生意気な。

「それにしても…。お前も呼ばれてたんだな、ルーシッド」

と、ルルシーが言った。
 
確かに。

どうやらルアリスは、『青薔薇連合会』帝国騎士団サイドにも声をかけていたらしい。

まぁ、そりゃそうか。

ルアリスは革命のとき、『青薔薇連合会』のみならず、帝国騎士団にも協力を要請していた。

帝国騎士団の功績など、『青薔薇連合会』の功績に比べれば足元にも及ばないが。

一応協力者の一人として、帝国騎士団の…積極的に協力を申し出てくれていたルーシッドに、招待状を送ったのだろう。

「帝国騎士団から参列してるのは、お前だけか?」

「はい。招待状は隊長達全員に届いたのですが、参加出来たのは俺だけで…」

「つまり、あなただけ暇だったってことですね?暇人ですね〜、もごもごもご」

「馬鹿かお前は。それを言うなら、オールスター勢揃いで参加してる『青薔薇連合会』勢は、全員暇人ってことになるだろうが」

え?俺達が暇人?

それはそれ、これはこれですよ。
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