The previous night of the world revolution~P.D.~
「良いかルレイア、お前はもう口を開くんじゃない。さっきから会う人会う人に、失礼なことばかりを…」

「俺の何処が失礼なんですか。俺はこんなに模範的な常識人で…」

「何の冗談だ?」

酷い。

ルルシーには分からないのね。俺のこの誠実な心が。

やっぱり、俺ほどの常識人はなかなか存在しない…。

…と、思っていると。

俺とルルシーの、そんな微笑ましいやり取りを見て。

「…変わりないようで安心しました」

ルーシッドが、ポツリと呟いた。

…あ?

「…喧嘩売ってるんですか?」

お前らはいつだって能天気で幸せだなw的な意味で言ったんだとしたら。

お前は、生きてルティス帝国には帰れないぞ。

…しかし。

「いえ、そうではなく…。…帝国自警団が…」

「自警団?」

「『青薔薇連合会』はここ最近、帝国自警団に目をつけられているようで…。ルレイア殿達の様子が気になっていたんです」

…ほう。

そりゃまたお前は…偉くなったもんだな。

俺達『青薔薇連合会』を心配するだと?

「俺だけではなく、オルタンス殿やアドルファス殿も…それに、恐らくはルシェ殿も…」

「…いつから『青薔薇連合会』と帝国騎士団は、仲良しのお友達になったんです?」

「…」

誤解しないでもらおうか。

ここしばらく何回も、『青薔薇連合会』と帝国騎士団が共闘する機会があって。

そのせいで、俺達が仲良しのお友達だと勘違いしているのかもしれないが。

『青薔薇連合会』と帝国騎士団は、決してお互いを心配し合うような仲ではない。馬鹿め。

「俺達に何が起きようが、あなた方の知ったことではない。そうでしょう」

「それは…そうですが…」

…呑気なもんだ。

帝国騎士団は、自警団が『青薔薇連合会』にちょっかいを出していることを知っている。

だったら、少しくらい自警団に口添えして、自警団が『青薔薇連合会』から手を引くように説得してくれれば良いものを。

まぁ、それは無理な相談だろう。

帝国騎士団と帝国自警団は、互いに不干渉の原則があるからな…。

だからって、「最近自警団に絡まれて大変だそうですね、大丈夫でした?」なんて、他人事みたいな世間話をされるほど。

帝国騎士団ごときに心配されるほど、『青薔薇連合会』はヤワではない。

調子に乗るなよ。

「どうぞご心配なく。自分の身くらい、自分で守りますから」

帝国自警団が何をしてこようと、『青薔薇連合会』は動じない。

帝国騎士団には関係ない。口を挟まれる謂れはない。

「…勿論です。あれほど帝国騎士団の手を煩わせた『青薔薇連合会』が、帝国自警団に屈するなんて…俺は全く思っていないので」

それはそれは。

言うじゃないか。その通りだ。

「だったら、オルタンス達にもそう言って欲しいですね」

「ええ、分かりました」

折角、自警団のことを忘れて箱庭帝国に遊びに来たのに、思い出させるとは。

野暮な奴だ。
< 156 / 634 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop