The previous night of the world revolution~P.D.~
…何事だ。

そんなに血相を変えて。

「ルヴィア?どうした?」

ルヴィアさんのただならぬ雰囲気に、ルルシーも緊張した面持ちだった。

…何だか嫌な予感がしますよね。

何より、俺とルルシーのイチャイチャタイムが邪魔された。この時点でただ事じゃありませんよ。

俺の予感が当たっているとしたら、恐らく…。

最近、ちょっとご無沙汰になったあの名前…。

「帝国自警団のリーダーが来て…。ルレイアさんを呼んでいます」

…とのこと。

ほら、やっぱりそうだった。

たまには、俺の予測が外れて欲しいものだ。

「何だと…!?帝国自警団のリーダー…。ブロテ・ルリシアスがか…?」

「はい…」

「…」

ルルシーは、無言で唇を噛み締めた。

その凛々しい顔も素敵だけど、でもそんな顔をする必要はない。

ただでさえ、ルルシーは心配性ですからね。

「あの女…。今度は何をしに来やがった…?」

「…分かりません。捜査令状は持っていないようでしたが…」

「だったら、叩き出してやれ」

いやん、ルルシーったら。過激派。

「何処の馬の骨とも知らない相手に、ルレイアを会わせるつもりはない」

まるで、花嫁の父親のような台詞。

心配してくれるのは嬉しいけど。

「まぁまぁ、良いじゃないですかルルシー」

「はぁ?」

俺がルルシーを諌めると、ルルシーは眉をひそめてこの反応。

「何が良いんだよ?」

「ブロテが何を考えているのか知らな…。…いえ、大体予想は出来てますけど」

「は?」

「でも、会ってみないと分からないじゃないですか。叩き出すのは勘弁してあげましょうよ」

「駄目だ。断る」

即答じゃないですか。

なんて頑固なルルシー。

「ルルシー…あなたって…」

「良いか、ルレイア。お前は自覚がないかもしれないがな。俺はこれまで、何度も似たような目に遭ってきたんだよ」

ん?

ルルシーは、真顔で俺を見ながら言った。

「単身誰かが『青薔薇連合会』に乗り込んできて、『ルレイアを出せ』と言われるのは初めてじゃない。最近だとルーチェスがそうだった」

…そういえば。

…そうだったっけ?

そのとき、俺いなかったから。あんまり覚えてないんですけど。

「絶対ろくなことじゃない。面倒事を持ち込まれるに決まってる」

「そうですかねぇ…?」

ルーチェスのときは、結局結果オーライだったじゃないですか。

しかし、ルルシーには通用しない。

「そうだ。だから追い返す。これ以上、ルレイアの絡む揉め事は御免だ」

「…俺って人気者ですよね〜、本当…」

「あぁ…?」

ちょっと、ルルシー。怒らない怒らない。

人気者は困るなぁって思っただけです。

あなたの心配は、よく分かりましたよ。
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