The previous night of the world revolution~P.D.~
「ともかくブロテは追い返す。何のつもりで、のこのここんなところまで来たのか知らないが…」

…。

「あの女は危険だ。ルレイアに手出しをする前に…」

…門前払いしてやる、ですか?

個人的には、ブロテが何をしに『青薔薇連合会』までやって来たのか。

何を思って、わざわざ俺を指名してきたのか…気になるところだけど。

どうしても知りたいってほどじゃないし、何よりルルシーがこんなに怒ってるし。

追い返すなら、別にそれでも構わない。

…でも…。

ルルシー。ブロテを門前払いしたくても、出来るんでしょうかね?

俺としては、そこがちょっと疑問ですけど…。

だってブロテは、腐っても帝国自警団の団長だろう?

「…ともあれ、会いに行ってみましょうか」

追い返すにしても、まずは一度顔を合わせてみないと。

多分、ブロテも納得しないだろうし。

しかし、ルルシーは大反対だった。

「何言ってんだ。お前が会ったら意味ないだろ。俺が追い返してくる」

あらまぁ。

ルルシーの心配性、ここに極まれり。

「でも、ブロテは多分それじゃ納得しないですよ」

「あいつが納得しようが納得すまいが、どうでも良い。俺のやることは一つだ」

ブロテを叩き出すことだけか?

そうしたいのは山々だけど…。そう上手く行きますかね。

「あの女が何を企んでいるにしても…。ルレイアには、絶対手出しさせない。これ以上…引っ掻き回されてたまるか」

「…ルルシー…」

…気持ちは嬉しいですよ、とても。

でも、今回は…ちょっと、相手が悪いような…。

「ルレイアはここにいろ。俺がブロテと話をつけてくる」

「…一人で大丈夫ですか?」

「当たり前だ。良いか、大人しくしてろよ」

「…」

そう言うと、ルルシーはくるりと踵を返し。

俺とルヴィアさんを置き去りに、さっさと執務室を出ていった。

…やれやれ。

意外とこういうところ、血の気が多いんですよね。ルルシーって。

俺のこと、とやかく言えないでしょう。
 
…さて、俺はどうしたものでしょうかね。

「…ルレイアさん…」

ルヴィアさんが、困ったような顔で俺を見つめた。

分かってますよ。

「…ふぅ」

一つ、溜め息をついてから。

「…止めないでくださいね、ルヴィアさん。ルルシーの為なんです」

「…はい。…ご苦労をお掛けします、ルレイアさん」

「俺は大丈夫ですよ。あなたこそ…ルルシーを支えてあげてくださいね」

「はい、勿論です」

俺には、ルルシーを始めとして…素晴らしい仲間達がいますから。

ブロテが何をしに来たのだとしても…小娘に、『青薔薇連合会』をどうこうさせるつもりはない。

頭を下げるルヴィアさんに、軽く手を振ってから。

俺はルルシーを追って、執務室を飛び出した。
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